中田由夫 氏
筑波大学体育系 教授
1976年、大阪府生まれ。1999年に早稲田大学人間科学部を卒業後、2004年に筑波大学大学院を修了。同大学の助教、准教授などを務めた後、2024年から現職を務める。健康・スポーツ分野において、疫学的研究手法を用い、観察研究や介入研究によるエビデンスを構築。そこから得た知見を社会実装に繋げていく「スポーツトランスレーショナルリサーチ」を研究テーマとしている。
中田由夫 氏
筑波大学体育系 教授
1976年、大阪府生まれ。1999年に早稲田大学人間科学部を卒業後、2004年に筑波大学大学院を修了。同大学の助教、准教授などを務めた後、2024年から現職を務める。健康・スポーツ分野において、疫学的研究手法を用い、観察研究や介入研究によるエビデンスを構築。そこから得た知見を社会実装に繋げていく「スポーツトランスレーショナルリサーチ」を研究テーマとしている。
−−健康づくりの面で、茨城県TX沿線に住むメリットを教えてください。
「健康」を軸にした居住地選びのポイントは、自宅からアクセスしやすい範囲に運動施設や公園が複数あることだと思います。一ヶ所だけでは暮らすうちに飽きてしまうので、さまざまな選択肢があることで、運動を習慣化しやすくなります。
「つくば市中央公園」や「科学万博記念公園」などの大きな公園、また、「つくばみらい市総合運動公園」や「常総運動公園」などの市民運動場も整備されている茨城県TX沿線は、健康的なライフスタイルを送りたい方にとって、理想的なエリアと言えるのではないでしょうか。
また、このエリアには車で60分圏内に数多くのゴルフ場が点在していて、 ゴルフ愛好者にとっても非常に恵まれた環境です。私自身も茨城県TX沿線に住んでおり、趣味のゴルフを満喫しています。
運動施設が充実していると、さまざまなスポーツを楽しむ人たちが自然と集まり、コミュニティに参加する機会も増えます。公園に行けば、いろいろなサークルの募集チラシが目に入ることも多く、仲間ができることで、楽しみながら運動習慣を身につけることができるのも魅力ですね。
また、「つくばマラソン」をはじめとする各市のマラソン大会や、「つくば100kmウォーク」など、茨城県TX沿線は市民参加型のスポーツイベントも豊富です。つくば市は「ランナーに愛されるまち」を打ち出して環境整備に力を入れていますし、筑波山の麓を走る「つくば霞ヶ浦りんりんロード」や、「いばらきヘルスロード」というサイクリングコース&ウォーキングコースもあって、私も住民の一人として市民スポーツの充実を実感しています。
−−忙しい現代人にとって、運動習慣を取り入れやすい環境とはどのようなものでしょうか?
毎日通勤している人に、「運動習慣を付けましょう」と言うと、必ず返ってくるのが「時間がないから無理」という言葉。例えば、片道2時間かけて通勤している人の場合、1日24時間のうち仮に仕事に10時間、睡眠に8時間を使うと、自由に使える時間はわずか2時間。その中から家事や食事、入浴の時間を差し引けば、運動に充てられる時間はほとんど残りません。
その点、TXで都心まですぐにアクセスでき、公園やスポーツ施設が充実している茨城県TX沿線なら、限られた可処分時間の中でも、運動する時間が確保しやすくなります。リモートワークの合間や出勤前、帰宅後にも気軽に運動でき、健康的なライフスタイルを実現しやすくなります。
ただし、運動のタイミングにも注意が必要です。夜間に行う運動として、ストレッチやピラティスのような穏やかな運動なら入眠の助けになりますが、夜間に強度の高いジョギングや筋トレだと交感神経が活性化し、寝つきが悪くなることがあります。その結果、睡眠の質が低下し、翌日の仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼしかねません。健康レベルを向上させるためには、朝の運動が効果的です。
私自身も、朝の時間を活用し、自宅周辺でジョギングやインターバルトレーニングを習慣にしています。朝型の生活を取り入れることで、心身のコンディションが整い、仕事のパフォーマンスもアップ。茨城県TX沿線なら、時間的な余裕と運動機会の両方を手に入れることができるのです。
−−都会と茨城県TX沿線エリア、環境の違いが心身に与える影響は?
適切な運動が健康に良いと言うのは都市部でも郊外でも同じことが言えますが、大きな違いとなるのは環境面です。例えば空気環境について、日本は綺麗な国なので、そこまで深刻ではないとはいえ、都市部では路上を走れば走るほど排気ガスを吸ってしまうリスクも否めません。
また、メンタルヘルスに与える効果にも違いが出ます。私が最近関わった研究で、森林でウォーキングした場合と東京の銀座でウォーキングした場合の比較研究があります。この実験では、唾液中のストレスマーカーを測定して、ストレス軽減効果を比較したところ、やはり森林でのウォーキングの方が明らかに大きな効果を示しました。その要因には空気の綺麗さや景観の良さもあるでしょうし、自然の中で活動することで得られるリフレッシュ効果もあるでしょう。
運動には身体に適度な負荷を与える効果だけでなく、心身を解放してメンタルヘルスを改善する効果もあります。その上で、やはり緑地が多くて運動できる場所が多いというのは、生活環境を選ぶ上で大切なことで、この茨城県TX沿線の魅力にも通じると思います。
また、少し別の視点の話になるかもしれませんが、大きなショッピング施設が多いというのも、茨城県TX沿線のいいところです。私は肥満の研究をする際、研究参加者の方に運動指導をすることがあり、雨の日でも毎日運動してもらいたいと思う方には、ショッピングモールに行くことを勧めています。雨や風が強い日は私もよく行くのですが、各階をぐるっとまわれば3000歩くらい歩けてしまいますからね。もちろん歩いていて気に入ったものがあれば買い物もします。
−−スポーツには、身体の健康以外にどのような効果がありますか?
運動で体を動かすことが健康に良いことは当然ですが、スポーツには「支えるスポーツ」と「みるスポーツ」という側面もあります。
「支えるスポーツ」というのは、大会運営のボランティアなどを通じて社会参加することを指します。もう一方の「みるスポーツ」というのは、スポーツ観戦を通じて楽しさや興奮を味わうことです。競技場に足を運び、そこでの熱狂から元気をもらうことができます。
私自身、スポーツ観戦が健康レベルにどのような影響を与えるかを調査しており、スポーツを見る人と見ない人の間には、心身の状態に違いがあることがわかっています。
また、生理学の研究では、スポーツを見て“手に汗握る”という感覚が具体的に身体にどう影響するかが、血液や神経系のデータから研究されています。面白いのは心拍のリズムの変化です。テレビ観戦では観客と選手の心拍リズムは同期しませんが、現地観戦だと不思議と合ってくるんです。これは、実際に競技場で試合を観ることで、より深く試合に没入し、気分が発散されることを示しているのではないでしょうか。
筑波大学は、これまで多くのオリンピアンを輩出してきましたが、現在は地域の方々に大学スポーツをより身近に感じてもらうための取り組みにも力を入れています。その一環として、3年前からバスケットボール、バレーボール、サッカーなどの競技で筑波大学ホームゲーム「TSUKUBA LIVE!」という市民参加型の観戦イベントを開催しています。このイベントでは、筑波大学が主催するホームゲームの観戦に加え、ダンスや音楽のライブパフォーマンスなど試合以外の催しも行うほか、地域の子どもたちにエスコートキッズとして参加してもらい、大学トップレベルの選手と触れ合う機会も提供しています。そういう場を通じて、筑波大学がスポーツを通じた地域交流の拠点となり、地域とスポーツ、そして人と人がより深く結びつくきっかけになれば嬉しいですね。
茨城県TX沿線は、健康志向の方はもちろんのこと、子どもが安心してのびのびと遊べる芝生の公園が多いため、子育て世帯にもおすすめの地域です。思い切り体を動かせる環境で過ごすことは、子どもたちの運動機能の発達にも良い影響を与えるでしょう。「家族みんなで健康な生活を送りたい」。そんな願いを叶えられる環境が、ここには広がっています。
取材・文:鈴木 翔