地元建築家に聞く、茨城県つくばエクスプレス沿線「家」のトレンド
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2025.02.20
地元建築家に聞く、茨城県つくばエクスプレス沿線「家」のトレンド
茨城県つくばエクスプレス沿線は、都心に匹敵する利便性と、豊かな自然環境の両方を兼ね備えた魅力的なエリアです。
今回は地元で活躍する建築家グループ「つくば・おとなりの建築家」の皆さまにご協力をいただき、建築家の視点から見た茨城県つくばエクスプレス沿線の移住の魅力についてお話を伺いました。

プロフィール

つくば・おとなりの建築家 グループの建築家のみなさん
(2020年秋に開催した「つくば・おとなりの建築家展」にて)

「建築家同士で集まって 何か楽しいことをしたい!」
茨城県つくば市にゆかりのある建築家たちが集まり、家づくりや街づくりの楽しさを地域の人々と共有するために2010年に結成されたグループです。「おとなりの」という名前には、設計事務所を身近に感じてもらい、家づくりを気軽に相談できる存在でありたいという想いが込められています。建築家ごとの個性を大切にしながら、住まいに関する疑問を直接聞ける「つくば・おとなりの建築家展」などのイベントを通じて、多くの人々と交流することを楽しみにしています。

1.「都心並みの快適さ × 自然の癒し」 - 茨城県つくばエクスプレス沿線の高い満足度


一級建築士事務所あとりえの建築家・とりやまあきこさん(写真:右)

茨城県つくばエクスプレス沿線の最大の魅力は、都内への抜群のアクセスの良さ。つくば駅から秋葉原駅までは最速45分で移動でき、八王子方面と比較しても通勤のしやすさが際立っているとのこと。

都内に事務所を構えながら、お子さまを実家のあるつくば市内の学校に通わせているという一級建築士事務所あとりえの建築家・とりやまあきこさんは、次のように話します。

「都内までのアクセスは、他の地域と比べても遜色がありません。むしろ、電車だけでなく車を利用することで、さらに移動時間を短縮できるため、時間を有効に使えます。また、新しく開発されたエリアが多いため、病院や道路といったインフラが整っており、快適な生活を送ることができます。広々とした道路や清潔感のある公共施設も充実しており、特にファミリー層にとっては安心して暮らせる環境だと感じています。」

さらに、週末の過ごし方の選択肢が豊富な点も、茨城県つくばエクスプレス沿線の魅力のひとつ。
北関東や南関東へのドライブがしやすい地理的な利点に加え、アウトドアやレジャーを気軽に楽しめる環境が整っています。電車と車をシーンに応じて使い分けられる柔軟性も、このエリアが選ばれる大きな理由となっています。

需要が根強い駅近の土地、狭まる選択肢は視点を拡げてみるのがおすすめ


e do design 一級建築士事務所の建築家・江ヶ崎雅代さん(写真:右)

茨城県つくばエクスプレス沿線では、駅近の利便性の高さから、土地の需要が集中し、価格が上昇傾向にあります。そのため、希望する広さや価格帯に合った土地を見つけることが難しいケースも増えているそう。こうした課題を乗り越えるためには、「駅徒歩圏内」にこだわらず、視野を広げることが選択肢のひとつとのこと。例えば、車で20分ほどのエリアに目を向けてみると、比較的広い土地を確保しながら、自然環境が豊かな場所で暮らすことが可能だといいます。
e do design 一級建築士事務所の建築家・江ヶ崎雅代さんは、こうした選択肢の広がりについて次のように語ります。

「特定の学区や駅近エリアにこだわって土地を探していたご家族が、少し離れた自然豊かな場所を選んだ結果、『ここから離れたくない!』と話すほど満足してくれるケースもあります。駅近にこだわらない柔軟な視点が、移住後の生活満足度を大きく向上させるポイントになると感じています。」

茨城県つくばエクスプレス沿線は、都会の利便性と自然の豊かさを両立させた希少なエリアです。そのため、土地探しの際には少しだけ視点を変えてみることで、これまで気づかなかった理想の暮らしを実現できる可能性が高まるかもしれません。


土地の広さだけでなく、方角や周りの建物との関係、外構とのバランスも重要(e do design 一級建築士事務所 photo by Hiroshi Shiiki)

プライバシーを確保しながらも自然を感じられる、「中庭」のある住まい例。どのように自然を楽しむか、自由度の高い設計が可能。(e do design 一級建築士事務所 photo by Masao Nishikawa)

2.快適な暮らしを叶える家づくり - 茨城県つくばエクスプレス沿線で実現する理想の住まい –

家を建てる際には、その地域特有の気候やルールを十分に考慮した設計が欠かせません。
茨城県つくばエクスプレス沿線のエリアでもこの地域ならではの設計ポイントがあるといいます。
ここからは広い土地を活かした住まいの設計や、市街化調整区域における土地選びなど、特有のポイントを建築家の視点から、快適な暮らしを叶えるため、住まいづくりのヒントをご紹介します。

 

Point1:冬の北風「筑波おろし」を感じさせないプロならではの設計術


市街化調整区域ならではの、自然と開放的なエリアを活かした住宅「おとの家」(一級建築士事務所あとりえ photo by Sadamu Saito)

窓の配置や間取りの工夫により、開放的で豊かな暮らしを実現した「おとの家」。薪ストーブも冬には大活躍。(一級建築士事務所あとりえ photo by Sadamu Saito)

つくば市周辺では、冬になると「筑波おろし」と呼ばれる冷たく強い北風が吹きます。この寒さに対応するためには、しっかりと設計された断熱性と気密性を重視した家づくりが重要だといいます。
壁や窓の断熱性能を高め、施工の段階でしっかりと気密性を確保することで、室内の温かさを逃さず、寒い季節でも快適な住環境を維持しつつ、土地の特性を活かし、都心では難しい南向きに大きな窓を設けることで、日中の自然光を十分に取り込み暖房に頼りすぎることなく心地よい空間を実現できます。

 

Point2:広い土地を活かしたゆとりあるプランニング


TSD+ 髙橋建築構造設計室の建築家・髙橋農さん(写真:左)

都心部と比較すると、茨城県つくばエクスプレス沿線では広い土地を確保しやすいため、家づくりの自由度が高いのが特徴。
近年、特に人気があるワンフロアで暮らせる平屋住宅や、広い庭を設けた住まい。家族構成やライフスタイルに応じて、ゆとりのある設計を楽しむことができるのもこのエリアの魅力といいます。
TSD+ 髙橋建築構造設計室の建築家・髙橋農さんは次のように話してくれました。

「広い土地であっても隣の家との距離や窓の位置などをプランニングの時から設計イメージを考えておくことで敷地を有効的に活用できますし、地域によっては隣との距離が決められている分譲地などもあるので、土地選びの段階から相談してもらえると最適な提案ができます」

広い土地だから大丈夫、ではなく建ぺい率や駐車スペースの確保など、購入前の計画段階でしっかりと検討することが大切とのこと。特に茨城県は車社会であるため、複数台の駐車スペースを確保するケースも多く、土地選びの段階から建築家や設計事務所に相談するのがおすすめとのことでした。


広い敷地を活かし、景色にひらけた窓を設けた平屋の建物(TSD+ 髙橋建築構造設計室)

 

Point3:郊外での土地選びのポイント

駅から少し離れると比較的広い土地を手頃な価格で購入できるため、自然に囲まれた環境で暮らしたい方にとってひとつの選択肢となります。そういった土地の中には、市街化調整区域のように原則として建物の建築が認められていない地域もある為、土地を購入する前からしっかりと下調べをしておくなど、場合によっては専門家に相談しておくことが重要とのこと。インフラ整備にかかるコストや手間を含めた総合的な計画を立てることで、理想の住まいを安心して手に入れることができるということですね。

 

Point4:空き家や中古マンションのリノベーションという選択肢


株式会社井川建築設計事務所 井川 一幸さん(写真:右)

株式会社井川建築設計事務所 井川 一幸さんは

「近年は新築にこだわらず、空き家や中古マンションをリノベーションするという選択をする方が増えています。駅近エリアのマンションは築20年程度の物件も多く、都内に比べると築浅の物件も豊富です。中古マンションを購入し、自分のライフスタイルに合わせたリノベーションを施すことで、コストを抑えながら理想の住まいを実現することもできます。」

と新築にこだわらないプランニングも理想を叶える一つだといいます。
また、家付の土地を購入し、古い家を取り壊して土地として再生した上で新たな住まいを建てるケースも増えており、最新の設備を取り入れながら、愛着の持てる住空間をつくることができるのも、リノベーションという選択肢もおすすめです。

快適な住まいを実現するためには、土地選びから設計、設備の選定まで、しっかりと計画を立てることが大切。
専門家のアドバイスを活用しながら、自分らしい理想の暮らしを叶えてみてはいかがでしょうか。

3.自由度の高さが魅力!都心部と比較した茨城県つくばエクスプレス沿線エリアの家づくり


土間テラス・庭とつながった広いLDK(株式会社井川建築設計事務所)

茨城県つくばエクスプレス沿線エリアでの家づくりは、都心部と比べて建築コストや設計の自由度が大きく異なります。
広々とした土地と自然豊かな環境を活かしながら、理想の住まいを実現するために、建築家目線から見てどのようなポイントがあるのでしょうか。

建築コストを抑えながら叶える理想の住まい ー 風通しと自然光を活かした快適な設計


Nido architects 建築家・一色 信宏さん(写真:右)

都心部では、住宅が密集しているため防火基準が厳しく、建築コストが高くなることがあるとのこと。しかし茨城県つくばエクスプレス沿線エリアでは、このような制約が比較的少ないため、同じ規模の家を建てる場合でもコストを抑えられるのが特徴です。

そして、このエリア最大の魅力は、設計の自由度が高いことと開放的に暮らせること。

「郊外の広い土地に家をたてるのであればウッドデッキを設けなくても同じ役割をするような、広い庭をつくることができます。休日には家族や友人とバーベキューを楽しんだり、芝生の上でのびのびと過ごしたりと、自然とともに暮らす喜びを実感できますよ」

と話すのは、Nido architects 建築家・一色 信宏さん。

他にも趣味のスペースをつくったり、薪ストーブを設置した温もりのあるリビングを実現したりと、都心部ではなかなか叶えにくいこだわりのある家づくりが可能。
さらに、都心部では防火地域等による材料の制限や密集地であるがゆえ、開放感を広げるための制限が生じることがありますが、茨城県つくばエクスプレス沿線エリアではそのような制約が少なく、風通しや自然光を最大限に活かした「外とのつながりのある家づくり」ができるといいます。大きな窓や吹き抜けがあることで、四季の移り変わりを感じられる開放的な空間を演出することができ、風通しが良く冬は太陽の光をたっぷりと取り込める工夫をすることで、エネルギー効率の良い快適な住まいを実現できそうです。


土地の広さを活かした芝生の庭のある平家(Nido architects)

庭とつながりのある開放的にデザインされたリビング(Nido architects)

4. 茨城県つくばエクスプレス沿線の未来 ー 発展と持続可能性を見据えたまちづくり

茨城県つくばエクスプレス沿線エリアは、今後さらなる発展が期待されるエリア。しかし、持続可能な街づくりを実現するためには、いくつかの課題とその解決策が今後求められてくるのではないかとのこと。地域の魅力を守りながら、次世代に快適な暮らしを提供するためにはどのようなことがあるのでしょうか。

自然と人のバランスを保つ街づくりが今後の課題

茨城県つくばエクスプレス沿線エリアは、大型分譲地の開発が進む一方で、自然環境の減少が懸念材料だといいます。このエリアの魅力のひとつでもあるのが、都会にはない豊かな自然環境。一定の割合で緑地などを設けながら開発が進められているものの、豊かな自然と利便性の両立という貴重な地域特性をどのように保っていくかという点が、今後のまちづくりにおける課題と言えるでしょう。
また今後は、開発期に集まった世代だけでなく、幅広い世代が安心して暮らせる街づくりを進めることで地域の発展をより持続可能なものにしていくことが求められているのかもしれません。

本記事では、「つくば・おとなりの建築家」の皆さまにご協力いただき、建築家目線で茨城県つくばエクスプレス沿線の住まいづくりの魅力についてご紹介しました。都心の利便性と自然の豊かさを両立させた希少なエリアであるものの、持続可能な街づくりも今後の鍵となりそうです。土地を購入する前から設計事務所などに相談することで、快適な住環境の実現、地域の特性を活かした家づくりといった自分にとって最適な住まいづくりについて考えてみてはいかがでしょうか。

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