コンセプトが際立つ!つくばエリアの実験的レストラン3選
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2024.08.20
コンセプトが際立つ!つくばエリアの実験的レストラン3選
TX沿線のレストランやカフェといえば、地産地消のおいしいメニューを出す店や居心地抜群の店はもはやスタンダード(レベル高い!)。今回は、スタンダードの上をゆく、コンセプトが特徴的な店舗3店を『散歩の達人』が厳選して紹介。社会的な課題に向き合う、ペットと思う存分遊べる、アウトドアや古民家体験ができる…などその味わい方はさまざま。つくばエリアに住んだら、お気に入りを探して常連になろう!

おいしさも自然へのやさしさも。「Pasta magari」の新提案(パスタ マガーリ/つくば市島名)

再生可能エネルギーの開発運営を行う、NOVALノーバル。その本社横で2022年に開店したのが、コースを基本とした創作イタリアンの「Pasta magari」だ。一般のレストランとの大きな違いが、照明や空調、調理で使うIHも、電力はすべて再生可能エネルギーを使っているという点。

「カーポートの上、レストラン・本社屋上にソーラーパネルを設置してあり、すべて太陽光発電でまかなっています。これからの外食産業は、再エネ利用のカタチが主流になっていくのではないでしょうか」とマネージャーの堂下治さん。

フードマイレージ(食料の輸送距離)削減も意識し、食材の主役は茨城県産。冷製豆乳ポタージュは地元トウモロコシの自然な甘さが次の一口を誘い、夏野菜と県産豚のパッパルデッレ(幅広のパスタ)は県産豚の旨みや夏野菜の濃い味わいが口に広がる。前菜に使われる、県産エディブルフラワー(食用花)の美しさときたら!

「メロンなどの果実から野菜、常陸牛や海の幸まで、茨城は四季を通して食材が豊富。なるべく塩味を抑え、食材自体のおいしさを伝えたいと思っています」と堂下さん。

前菜にパスタ、デザート、飲み物などが付くmagariコースの一例2400円。スープはオプションで450円。

使用する茨城県産食材の一例。この日はパプリカやトウモロコシ、トマトなどがお皿を彩った。

モバイルオーダーとキャッシュレス決済を導入し、フロアスタッフの負担を軽減。

お店の横にはテスラモーターズの電気自動車用の充電設備を設置。カーポートの上にはソーラーパネル。

「BROOKSTND GRILL」は愛犬家の幸せ休憩スポット(ブルックスタンドグリル/守谷市立沢)

店主の粕谷さん夫婦は、三郷に住んだ後、守谷に移住。「大型犬を3頭飼っており、彼らの幸せを考えると、ある程度広い敷地が必要だなと。適度に郊外で、適度に都会。仕事と、愛犬との暮らしの両立ができる、ちょうど良い場所が“ここ”だったんです」

もともとアパレル業で働いていた二人だったが、愛犬との暮らしが長くなるにつれ「この子たちを看板犬として、何かお店をやりたい」と思うように。そこで、思いついたのが普段から食べ歩きが好きだったハンバーガー。北千住の名店「サニーダイナー」で修業後、ドッグラン併設のハンバーガーショップを2021年にオープンした。

「近所にも大型のドッグランがいくつかあるので、そこで愛犬を遊ばせて来た方がウチにいらっしゃることも多いです」。彼らの来店の目的は、ワンちゃん連れOKの空間だけではない。バンズとパテと野菜、さらには付け合わせのポテトまで一皿の料理として考え尽くされたハンバーガーも楽しみのひとつなのだ。「バンズは主張し過ぎずもちっと歯切れのよいものを、地元ベーカリー『クーロンヌ』さんに特注しました。肉汁もトマトも半熟卵も天然のソースと考え、ソースの味に頼り過ぎないバランスの良いバーガーが理想です」。バーガー作りにも、暮らしの拠点選びと同じく“良いバランス”を大切にする夫婦の思いが詰まっていた。

大型犬と暮らす粕谷さん夫婦。愛犬の名を冠したハンバーガーも人気。

パテは牛肉100%。牛肉本来の味を楽しんでもらうため、味付けは塩コショウのみ。要望があれば味付けしていないパテの“よく焼き”をワンちゃん用に提供することも。

パテ2枚で食べごたえ満点のブルックスタンドバーガー2380円。隠し味の八丁味噌でコクを加えた自家製チリビーンズ入り。プラス220円でドリンクセットに。

店舗前に小型犬用、左奥に大型犬用のドッグランがある。
大型犬用ドッグランが見えるテラス席も一卓用意。

「山小屋あけび」は、日韓のいいとこ絶妙ブレンド(つくばみらい市狸穴)

みらい平駅からタクシーで向かうと、のどかな田園地帯を過ぎ、細~い路地に突入。本当にこんな場所に韓国料理の店が? 不安のまま車を降り、それらしき場所を探すと「あけび」という表札と立派な母屋、奥にウッドデッキやハンモックが見えた。

「築約80年のこの古民家にひとめぼれして、移住しました。当初は韓国料理店と民泊をやるのが夢でしたが、諸事情あって、韓国料理店とBBQのできるキャンプ場にしたんです」と韓国生まれの店主・金明珍きむめいちんさん。

えびす様が彫られた重厚な扉を開き、母屋をリノベーションした店内へ。料理はおまかせコースが基本で、常陸牛カルビとうなぎ焼きのコースを注文。すると、モッツァレラチーズとトリュフをのせたバゲットにはじまり、自家製のタコキムチや、サンチュなどで巻く常陸牛など、金さんワールド全開の創作韓国料理が次から次へ。
「世界でひとつだけの私の料理だと思っています。たれは果物で少し甘めにするなど、日本の方の口に合うような味付けも心掛けていますよ」

焼いたうなぎを、醤油漬けした自家栽培のエゴマの葉と辛味噌と合わせて食べると、うなぎの脂に苦みや辛みなどが加わり、かつてない味覚の多重奏に酒が進む。聞くと、キャンプ泊のお客も、店内でコースを味わえるらしい。次は絶対泊まりで来ようっと!

常陸牛カルビおまかせコース、韓国風うなぎ焼きおまかせコース各1人前6578円。写真は計4人前。これにプラス、鍋などが付く。

BGMにジャズが流れる店内。太い梁や無垢材の天井など、蕎麦や和食が出そうな雰囲気だけど、韓国料理というのが斬新。

約400坪の敷地には日帰りBBQ対応のキャンプサイトも。テント持ち込みで泊まりもOK。庭には自家栽培の野菜も。

金さん(右)と、今秋から「あけび」で陶芸体験の講師を担当予定の草野誠さん。草野さんは「あけび」の常連でもあり「ここのカルビは最高!」と語る。

この記事をかいた人
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鈴木健太(すずきけんた)

『散歩の達人』本誌の酒場企画のほか、アウトドアや旅行記事の撮影・執筆を行う。子育てを機に我孫子での郊外暮らしをスタート。暴飲でたるんだボディを正すため、TXを使っての筑波山登山の頻度も増加!

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