一足早い春の訪れを感じさせる、「真壁のひなまつり」と「筑波山梅まつり」をレポート
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2023.03.09
一足早い春の訪れを感じさせる、「真壁のひなまつり」と「筑波山梅まつり」をレポート
2023年は、2月4日〜3月3日まで開催の茨城県桜川市の真壁のひな祭りと、2月18日〜3月19日まで開催の筑波山梅まつり。毎年多くの人に親しまれているこの2つのイベントは、例年開催期間が一部重なっているので、車やバスを利用して1日で回ることができます。 今回は一足早い春の訪れを五感で感じる事ができるこの2つのイベントを写真とともにレポートします。

 

人情味あふれる真壁のひなまつり

真壁のひなまつりは、平成14年「寒い中、真壁に来てくれる人をもてなせないか」と町おこしを考える住民有志のひと言から始まり、現在では店舗や民家など約160軒の家がひな人形を飾る街を挙げての名物イベントに成長。雅やかな雛人形とともに重要伝統的建造物群保存地区に登録された昔ながらの情緒ある街並みをひと目見ようと毎年多くの人が訪れます。

そんな真壁のひなまつりの会場である桜川市真壁町は、つくば駅から筑波山の脇を通り車で約40分ほどの場所にあります。
高上町駐車場から車をおりると早速、日本三大石材産地としても有名な真壁ならではの、真壁石のおひなさまが私たち観光客を出迎えてくれます。

配布されていたマップを見ると、4区画に分けられており、約110軒のお店の軒先や蔵の中などに雛人形が飾られているとのこと。
どこから行けばいいのか地図を片手に悩んでいると「とりあえず、総合案内所の「旧真壁郵便局」にいってみるといいよ」と駐車場のおじさんからアドバイスが!

まずは旧真壁郵便局の総合案内所へ

アドバイスを受けて、駐車場前の目抜き通りを歩き、見えてきたのがこちらの真壁郵便局。
1927(昭和2)年に建てられた外壁がモルタルの木造建築であり、昭和初期の地方都市の雰囲気を残した近代建築。町のシンボルとして親しまれています。

2階も訪問客にむけて開放されており、この日は写真のコンテスト展示が行われていました。

この施設は、ちょうど街の中心に位置していることもあり、期間中は雛人形の展示とともに総合案内所として利用されています。ボランティア団体の方たちが常駐しており、声をかけると真壁の町歩きをサポートしてくれます。

散策前に真壁伝承館で真壁の歴史をインプット

総合案内所を出てまず向かったのは、かつて江戸時代に真壁陣屋があった地に建っているという真壁伝承館。風情ある街並みと調和したモダンでスタイリッシュな建物が目印です。

館内には歴史資料館が併設されており、真壁町のある桜川市の歴史文化の全体像がわかりやすく展示されています。真壁地区の成り立ちや重要伝統的建造物群保存地区についてもここで深く学ぶことが出来ます。

真壁の街歩きスタート!

増田酒店

真壁伝承館からそのまま人の流れについていった先でまず出会ったのがこちらの増田酒店。
店内へお邪魔すると、見事なひな壇が出迎えてくれました。

店内では女将さんが自家製の甘酒を振る舞いながら、展示している雛人形や酒瓶の歴史、真壁の土を使って作られた焼き物の真壁焼について丁寧に説明してくださいます。

日本酒好きならついつい気になってしまう「増田酒造限定、しぼったままの生原酒」の文字!

村井醸造

村井醸造は「公明」の銘酒で知られ、江戸時代から約300年続く歴史ある酒蔵です。
こちらの酒蔵の建物群の中で、煙突、脇蔵、店舗、石蔵がそれぞれ国の登録有形文化財に登録されています。

店舗では、村井醸造でつくられた日本酒を販売。各種試飲も行っています。

道路を挟んで向かい側も文化財として登録されている村井酒造さん所有の石蔵。現在は呉服屋の若旦那が石蔵を借りうけ、「染織工芸サロン蔵布都(くらふと)」として、日本各地の着物や布を展示するギャラリー兼店舗として利用されています。

川島書店見世蔵

店舗と住宅を兼ねた見世蔵という作りの建物で、江戸末期、生薬商の店舗として建設されたと伝えられています。
書店としての営業は隣の店舗で行われており、見世蔵の中では昭和・明治・江戸と時代ごとに分けられた雛人形が展示されています。

様々な時代の雛人形が集まって展示されるのも真壁のひなまつりならでは。
時代ごとに、人形の表情に違いが見られるのも興味深いですね。

旅籠ふるかわ

川島書店の向かいで、休憩処として開放されているのがこちらの旅籠(はたご)ふるかわ。文化財登録はされていないものの、築160年の古い民家を再生して作られており情緒あふれる素敵なお店です。
暖簾をくぐると、雛飾りとともに小上がりの席がお出迎え。囲炉裏を囲んでお茶と甘味を楽しむことが出来ます。

甘味はお茶とのセットになっており、抹茶のロールケーキ、おしるこ、和菓子(白河菓子店の桜餅、草餅)の3セットから選べます。

一服したら、店内をから中庭を通り抜けてお店奥の蔵へ。

蔵の中は、ひな壇のほかにもつるし雛など人形飾りがたくさんでとても華やかです!

白川菓子店

年季が感じられ木製のショーケースが出迎え、レトロで懐かしさがあふれる和菓子屋さん。

入り口近くにおかれた、祝い菓子に使われているという落雁用のおおきな鯛の木型が目を引きます。

真壁のひなまつりは、住民誰もが参加できる自由な雰囲気で作り上げられたイベントだからなのか、どのお店やお家に伺っても、まるで久しい友人に出会ったかのように出迎えてくれ、真壁の街やお雛様の歴史についていきいきと話をしてくれるのがとても印象的。

人と人のふれあいのあたたかみに気づくことができる素敵な催しでした。

 

筑波山梅まつりへ

真壁の街を堪能したあとは、筑波山の中腹、標高約250メートルに位置する筑波山梅林で開催される「筑波山梅まつり」へ。
真壁から県道41号で筑波山の脇をぐるっと回り、梅まつり会場近くのつくば市営駐車場まで車で約20分程度で到着です。

筑波山梅まつりは、毎年2月中旬〜3月中旬まで開催され、約1,000本の梅の木が筑波山の中腹の斜面、約4.5haを白と紅に染め上げる様は圧巻。例年、開催期間の週末は、県内外を問わず多くの人で賑わいます。

その歴史は、1970年代に梅を地域の特産物にするべく筑波山梅林が造成されたところから始まります。その後、長い期間放置され荒れ果てていた梅林を、筑波山の観光地として再生する「筑波山林再生プロジェクト」が2001年に発足し、梅の木の伐採や剪定、木道、あづまやなどの施設の整備などが順次行われ、現在の美しい景観が作り上げられたのだそう。

取材当日の開花状況は、まだ三分咲き程度。
梅林入り口付近はちらほら赤い梅の花が咲き始めています。
公式サイトでは毎週末、開花状況を発信しているので、足を運ぶ際の参考にしてみてください。

筑波山梅林を散策

ここから梅林の最上部、「展望あずまや」に向かって歩を進めていきます。
筑波山梅林は、山の斜面を利用して作られているため階段と傾斜道が続くのと、標高が上がるにつれて風も冷たくなってくるので、来園の際は靴や服装などに注意しましょう。

梅林入り口から筑波山中腹へつづく道路も梅まつりの期間中は車両通行止めとなっています。
階段や急な傾斜を登るのはちょっと・・・という方は、勾配も緩やかで平坦なこちらを登ってきてもOK。
ご年配の方や体が不自由な方は、無料の循環ワゴンが利用できます。

敷地内の見晴らしのいいスポットには木道やベンチ、見晴台などが設置されているので、様々な角度からつくばの街並みと梅林を楽しむことが出来ます。

苔の生えた「筑波石」と呼ばれる斑れい岩の巨石と梅の花の趣のある風景も筑波山梅林の魅力の一つとなっています。

梅林最上部の「展望あずまや」へ

最上部の展望あずまやは、眼下に梅林全体と山麓の田園風景、学園都市の街並みを見渡すことができる一番の絶景スポット。
天気のいい日にはスカイツリーや東京の高層ビル群、富士山を見ることもできます。

散策を終えたら筑波山グルメを楽しもう

筑波山梅まつり期間中は、筑波山周辺やつくば市街の各店舗で、梅まつりに合わせて梅を使用した期間限定メニューが展開されています。
そのほか、筑波山梅林でも土日祝日のみ筑波山梅まつり特別弁当を販売するなど、グルメも充実。

梅林内の筑波山おもてなし館では、「梅CAFE」が期間限定特別オープンしており、コーヒーや物産品の他、筑波山梅林の梅シロップを使った梅林限定のドリンク、おやつなどを販売しています。

梅カフェでコーヒーのお供に神谷製菓さんてづくりの「神谷の梅羊羹」を購入。
甘みの中にほんのりと効いた塩味が感じられて美味しい!


おもてなし館前の広場には広めの休憩エリアが併設されており、土日は家族連れなど多くの方で賑わいます。
またこのスペースでは期間中、ワインフェス新酒DE筑波山地酒フェスといった催しも企画されているので気になる方はイベントページを是非チェックしてみてください。

休憩のベンチエリアの脇にも軽食やお土産屋さんが並びます。

杉本屋さんのつくばうどん(ハーフ)と筑波山焼きを購入。
筑波山名物の「つくばうどん」は、 筑波地鶏で作った「つくね」、地元産のごぼうなどの「黒野菜」茨城が誇る銘柄肉ローズポークの「バラ肉」など、地元食材をふんだんに使った一品。梅まつりにちなんで、お好みで梅ねぎもトッピングできます。

つくば焼きは、うめあん、こしあん、福来みかん(しろあん)、カスタードの4種が選べます。
この日は残念ながらうめあんが完売だったので、福来みかんを購入。
白あんの中に福来みかんの皮が練り込まれており、香りも味も柑橘の風味が感じられる優しい甘さです。

お土産で人気なのは「みよこの七味」。
筑波山名物「福来(ふくれ)みかん」の皮を陳皮として使用した七味で、山椒や柚子とは一味違う香りが特徴です。

「真壁のひなまつり」、「筑波山梅まつり」を回ってみて

人と街の暖かさを感じる「真壁のひなまつり」と、山麓ならではの美しい自然と眺めを楽しめる「筑波山梅まつり」、全く違った魅力を持つ2つの催しは例年同時期に行われ、イベント期間が重なる期間(2023年は約2週間)には一度に楽しむこともできます。

実際に2つのイベントをまわってみて、開催場所の距離も近いため車移動の負担も少なく、どちらも家族連れが無理なく散策ができる規模感なので、春のお出かけにはおすすめの行程だと感じました。
ただ週末はどちらも会場周辺は混雑が予想されるので、平日やピークの時間をずらしてお出かけするのをおすすめします。

2023年の「真壁のひなまつり」は3月3日(金)まで、筑波山梅まつりは3月19日(日)までの開催です。
気になった方はぜひ、公式サイトの情報をチェックして足を運んでみてくださいね。

 

【information】真壁のひなまつり

【information】筑波山梅まつり

 

この記事を書いた人
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田おみちゃん
つくば市在住の主婦。美味しいもの、素敵なお店探しが好き。

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