さくら塾は、小学校から高校までの子供たちに筑波大生が無償で学習支援を行う場です。「一人ひとりと向き合った接し方」と「価値観や考え方を広げる」ことを方針として活動を行っています。春日校、台坪校、桜校の3校舎があり、それぞれ週に1回ほどのペースで開かれています。
さくら塾とは
さくら塾で先生をしている筑波大生たち
現在、28名の学生によって運営されているさくら塾。
今回は、団体代表の岩澤さんと春日校校舎リーダーの品部さんにお話を伺いました。
生徒の自主性を伸ばすさくら塾
私達はさくら塾で、自ら考えて、自主的に学んでほしいという思いをもって生徒たちと接することを大切にしています。「今日は何やるの?」という声かけから始まり、何もやることがないときは、「じゃあそれでもいいよ」と雑談する日も。
そうしてコミュニケーションを取っていくうちに少しずつ自分から「今日はこれをやる」と自主的に教科書を開いてくれるようになります。そういった生徒たちの変化を感じたときが嬉しい瞬間でもありますね。
各校舎の特色
春日校は中高生が多いこともあり、真面目に勉強する雰囲気が強いです。
桜校は、小学校の高学年の子が通っているので、一緒に遊ぶこともあり、賑やかに活動しています。台坪校は、春日校と桜校の中間で、勉強もちゃんとしますが、雑談をしたりかるたなどで遊んだりもします。
ちなみに、桜校に関しては団地の集会所をお借りしていて、その団地に住んでいる人しか受け入れていないので、入塾希望の方は台坪校に案内しています。
さくら塾のポリシーと魅力
勉強の楽しさを伝えるというのは、ポリシーとして変わらずあります。
新型コロナウイルスが流行する前だと、理科の実験を行うなど、学校の勉強というのをより楽しく思ってもらえるような取り組みも行っていました。コロナ禍以降イベントなどはできなくなってしまいましたが、できれば復活させたいと思っています。
他には、さくら塾では1対1で教えていますが、この子にはこの先生が付くという決まりはありません。価値観や考え方を広げてほしいので、なるべく入れ替わりで違う人と接することができるようにしています。実際に、先生と話すなかで大人の価値観や考え方を生徒たちが自然と取り入れているように感じる場面もあります。先生からだけでなく、高校生と小学生が一緒に勉強している環境なので、小学生のうちから高校生の大人びた態度を見て学ぶこともあるようです。
さくら塾の先生について
どの先生も生徒の意見を聞こうとしてくれます。子供と接するのが好きで、上からではなく、一緒の目線で話してくれていると思います。
生徒たちは、どんなに年齢が低かったとしても、一人ひとりちゃんと考えがあって、どんな言動でも、その子のなかでは筋が通っているのだというのを、ここで教えはじめてすごく感じました。
それぞれのバックグラウンドを含めて、できるだけその子のことを理解してあげられるようによく話を聞いて、自分の価値観だけで教えたりしないように気をつけています。
校舎リーダーとしての心掛け
今年は特に保護者の方とのコミュニケーションを心がけています。LINEやメールを通じて、その日の様子や苦手分野、将来の話など聞いた事を伝えるようにしています。
こうしたコミュニケーションを通じて、保護者の方の意見も積極的に学習に取り入れたいと考えています。
一緒に考えて答えを導く
私個人としては、一方的に教えるのではなく、一緒に考えるというのを大切にしています。
一方的に答えを与えるのはよくないかなと思っていて、一緒に調べながら問題を解いたり、「どこが違うんだろうね」と話をしながら教えることを心がけています。
一番は「日常を生きてくれること」
勉強も大事ですが、日常を生きているってことが一番大事だと思うので、元気のない時は相談に乗って、ちょっとでも気が晴れてくれると嬉しいです。
私達との趣味の話や学校の話から何か将来に繋がるものが見つかればと思っていますが、まずは気楽にお兄さんお姉さんと話せる場所としてさくら塾を作っていきたいです。
生徒たちの声
こういった先生方の思いは生徒にどのように伝わっているのか、生徒の皆さんにもお話を伺いました。
勉強について
先生が付くときには、事前に「今日は何やる?」って聞いてくれて、教科に合う先生をつけてくれます。質問したときに、もし担当の先生が分からなくても、周りの先生がすぐに答えてくれるので時間に無駄がなくて、効率よく勉強が出来ると思います。
わからないところから一緒に考えてくれるので、根本から理解できます。一緒に考えてくれることで、自分としてもちゃんと理解して解けたという感じになるし、間違えたところは記憶に残るので、いいサイクルが出来ていると思います。
図形がわかりにくかったときに、先生が折り紙で立体的に教えてくれてとってもよく理解できてびっくりしました!学校や普通の塾と違って、なぜそうなるのかを先生と会話をしながら学べるので、わかったふりをせずにもう一度教えて欲しいと言えるようになりました。
様々な専門を学ぶ大学生が教えてくれるからこその強みも
新しく始まった「情報」という教科は、学校にも教えてくれる人がなかなかいなかったので、どうしていいかわからなかったけど、情報学群(筑波大学の学群の一つ)の方に教えてもらうことができてすごく助かっています。
毎週先生が変わることについて
みんな話しやすい人で、色んな人と喋るのはいいことかなって思います。人によって返し方が違うのも面白い。
大学生の皆さんが優しいので、コミュニケーションが苦手な人でも心を開きやすいと思います。
勉強以外の相談
学校の先生だと、年齢が離れていて相談しにくい部分もあるけど、さくら塾の先生は年齢も近くて、雰囲気も温かいので気軽に相談できます。
生の大学生の声を聞けるのがすごくいい場所なのかなと思います。興味がある学部の話が聞けて、実際に自分が大学に行ったらどんな感じなのかなと想像ができて参考になります。
勉強以外の疑問に思ったことを聞いても答えてくれます。小学生の頃はよく日常生活で気になったことを質問していて、それに対しても真面目に答えてくれました。今でも、生活リズムを整えるための対策とか生活面の相談もします。
保護者の声
さくら塾の感想と今後の期待を保護者のみなさんにお伺いしました。
さくら塾に行ける事を楽しみにしているようです。毎回先生が違うそうですが、どの先生も分かりやすく教えて下さり、勉強のあとに歴史のカルタや将棋など初めて経験させて頂く事があったりと、とても充実した時間を過ごせているようです。
いつも先生が親身に対応してくださっていて、感謝しています。現役の大学生である先生方からお話を聞けることで、学習の取り組み方や、地道な努力の大切さについて吸収してくれることを期待しています。
普段はなかなか勉強を始めてくれませんが、さくら塾へは嬉しそうに行ってくれます。
友達や大学生とのふれあいも大切だと思います。このままさくら塾へ喜んで通ってくれる事を望みます。
学校外での異年齢の交流に大いに刺激を受けているようです。
学びそのものもそうですが、なぜ学ぶのか、先生方はなぜ大学に進んだのか、学びは人生になぜ必要なのか、そんな意義も学び取ってくれたらうれしいです。
終わりに
今回、多くの方に取材のご協力をいただく中で、話を伺った生徒さんが皆、楽しそうにさくら塾のことを話してくれる姿が非常に印象的でした。
進学塾と比べると徹底した学習指導は難しいですが、先生方との深いコミュニケーションを通じて、様々な考えに触れ、生徒一人一人が視野を広げているようです。また、どの生徒さんも自立した考えを持っており、さくら塾の「自主性」を育てる姿勢がしっかりと伝わっていると感じました。
地域の子どもたちの居場所であり続けるさくら塾の活動に今後も注目していきたいです。
さくら塾は、小学校から高校までの子供たちに筑波大生が無償で学習支援を行う場です。「一人ひとりと向き合った接し方」と「価値観や考え方を広げる」ことを方針として活動を行っています。
活動場所:
春日校 春日交流センター
桜校 県営桜アパート集会所
台坪校 台坪ふるさとコミュニティセンター
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片山 周香(かたやま しゅうか)
学生団体C4代表。
筑波大学比較文化学類に所属。
つくばで見つけた日々の発見を通じ、みなさんの毎日をちょっとだけ豊かにする団体を目指し日々活動中です。