大人も子供も楽しめる【つくばサイエンスツアーバス『スタッフガイド同行コース』】参加レポート
2023.12.25
大人も子供も楽しめる【つくばサイエンスツアーバス『スタッフガイド同行コース』】参加レポート
研究機関と最先端の科学技術が集結する、スーパーサイエンスシティを目指すつくば。 つくばサイエンスツアーバスは、そんなつくば市内5つの研究教育機関を巡る循環バスです。 今回は、つくばサイエンスツアーバスから月に2回程度開催されている『スタッフガイド同行コース』に参加したレポートをご紹介します。

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つくばサイエンスツアーバスとは?

つくばサイエンスツアーバスは、科学の街つくばに点在する6か所の研究教育施設を巡る循環バスです。
運行は年末年始を除く土日祝日のみ(※)で、料金は大人500円・小学生250円。個人の方は予約不要で、当日乗車券を購入するだけで当日中は何度でも乗り降り自由で利用できます。
※夏休み期間中は月曜日を除き毎日運行

通常の路線バスのように好きな停留所で降りて散策することができるので、子供の学習や科学体験にはもちろん、つくばの研究教育機関等を見学するための手軽な交通手段としてご利用いただけます。

つくばサイエンスツアーバス 運行ルート

【北回り】

つくばセンターバスターミナル8番乗り場

国土地理院「地図と測量の科学館」

国立科学博物館 筑波実験植物園「つくば植物園」

【南回り】

つくばセンターバスターミナル8番乗り場

つくばエキスポセンター

産業技術総合研究所「サイエンス・スクエア つくば」「地質標本館」

JAXA筑波宇宙センター

 


 

【乗車券販売場所】

関東鉄道株式会社 つくば学園サービスセンター(BiViつくば1F)
土曜日 12:00~19:00
日曜日・祝日  9:00~17:00
※上記の営業時間外はサイエンスツアーバス車内で販売

つくばサイエンスツアーバス『スタッフガイド同行コース』の参加方法

つくばサイエンスツアーバス『スタッフガイド同行コース』は、つくば市に詳しいガイドさんの解説付きで5つの施設を巡ることができる事前予約制の特別なコースです。

実施は毎月第1・第3土曜日で、参加にはWeb申込フォームからの事前予約が必要です。費用はつくばサイエンスツアーバスの乗車券代、植物園の入園料、昼食代(自由昼食)などで、ガイド料金はかかりません。午前のみの参加や、午後からの参加も可能です。

※各月で追加設定日があるため、つくばサイエンスツアーオフィスのホームページでご確認ください。

『スタッフガイド同行コース』レポートスタート!

午前9:15 つくばセンターバスターミナルを出発

つくばセンターバスターミナル8番乗り場で受付を済ませ、乗車券を購入したら出発します。
この日の参加者は20名程度。市内や茨城県内のみならず、県外から参加されている方もいました。

乗車の際に配られたのは、ツアーバスの1日乗車券と現在(2023年11月)開催中のイベント「サイエンス絵葉書重ね押しスタンプラリー」の台紙です。
スタンプラリーはあの人気漫画「宇宙兄弟」と「地球の歩き方」がコラボしたものなのだとか。完成するとつくば市内外にあるお店や施設で割引やプレゼントなどの特典が受けられるとのことで楽しみですね!
※こちらのスタンプラリーは現在終了しています。
スタンプラリーの詳細はこちら

午前9:25頃 『地図と測量の科学館』に到着

『地図と測量の科学館』について

『地図と測量の科学館』は、地図と測量について総合的な展示を行う施設です。
江戸後期に作製された古地図や現存する世界最古の地球儀のレプリカなど、他にはない貴重な展示物が見学できます。

地理クイズやゲームコーナー、不定期に開催されるイベントや企画展示などもあり、生活に欠かせない地図や測量の役割について楽しみながら学べる場として親しまれています。

『地図と測量の科学館』1Fラウンジ・地球ひろば

1階ラウンジの床に描かれていたのは巨大な地図「日本列島空中散歩マップ」。赤青メガネをかけると列島や海溝が立体的に見える仕掛けです。

大人にとっては懐かしい地図記号が時代と共に変化する様子もわかります。地図記号を当てるクイズ、どの記号が何を表わしているか、わかりますか?

屋外の「地球ひろば」で存在感を放っていたのは縮尺1/1,200万の巨大な地球儀です。
背後には、この地球儀の黄色の円で囲まれた部分(日本列島とその周辺)を切り取った「日本列島球体模型」が。

球型模型は1/20万の縮尺で作られているため、大人が上に立って見下ろすと高度約300kmの宇宙空間から地球を眺めていることになるそう。実際に上を歩くと地球の丸さが感じられます。

1960年から23年間日本列島の航空撮影で活躍した測量用航空機「くにかぜ」の初号機も間近で見ることができました。

『地図と測量の科学館』2F常設展示室

古地図コーナーには歴史的に貴重な展示物が並んでいます。こちらは現存する最古の地球儀として知られる「ベハイムの地球儀」のレプリカ。

江戸後期、伊能忠敬を中心とした測量隊によって作製された「大日本沿海輿地全図「関東」(伊能中図)」の展示。

伊能忠敬と測量隊は「大日本沿海輿地全図」を作るため17年で約35,000km歩いたといわれています。

チャレンジコーナーでは、地理クイズなど遊びながら学べるコンテンツも。

光っているポールまでの距離が何m何cmなのかを目測で当てるゲーム。これが意外と難しく、ライターは全く当てられませんでした…。

午前10:45頃 『筑波実験植物園』に到着

『筑波実験植物園』について

『筑波実験植物園』は、植物の研究を推進するために設置された国立科学博物館所有の施設です。

東京ドーム約3個分の広大な敷地には、世界中から集められた約7000種類の植物が適切な環境で生育され、そのうち約3000種類が公開されています。園内には19のエリアと4つの温室があり、街路樹などでお馴染みの植物から熱帯雨林の植物、サバンナの植物、絶滅危惧植物まで、普段目にすることができない多種多様な植物に出会うことができます。

園内全てをじっくり見て回るには丸1日以上かかってしまうということで、この日は園のボランティアガイドさんの案内で南側の「生命を支える多様性区」エリアを中心に見学しました。

プロムナードと「熱帯資源植物温室」

入口すぐのプロムナードではヒノキ科の落葉高木「メタセコイア」の紅葉が見ごろを迎えています。

熱帯資源植物温室の様子。少し珍しい熱帯植物や、果実が木に生る姿などを見て楽しむことができます。

チョコレートでお馴染みのカカオの実は、枝でなく幹に生ると知っていましたか?(ライターは知りませんでした。)

屋外エリア「生命を支える多様性区」

つくば市のシンボル・筑波山に自生する植物を集めたエリアです。

筑波山の固有種だという「ホシザキユキノシタ」を発見。左奥に見える2つの岩は筑波山をイメージしているのだそう。

現在閉鎖中のクレマチス園は、4月の終わりから6月頃になると見ごろを迎えます。四季折々で移り変わる自然が感じられるのも良いですね。

毎週第3土曜日は「クラフトDAY」

今年で40周年を迎える筑波実験植物園では、企画展の他、クレマチス園の公開など季節にちなんだイベントが定期的に開催されています。

なかでも花や木の実など季節の植物を使った工作ができる「クラフトDAY」はお子様にも人気のイベント。毎週第3土曜日開催で予約不要・参加費無料なので、植物やものづくりが好きな方におすすめです。

昼休憩

午後12:05頃~ つくばセンター広場周辺にて自由昼食

出発場所であるつくばセンターバスターミナルに戻り、昼食休憩をはさみます。

休憩中は自由行動ですが、集合時間厳守なのでつくば駅周辺からはあまり離れないようにしました。バスターミナルすぐの商業施設「BiViつくば」や「トナリエ つくばスクエア」なら軽食を扱うカフェやフードコートが揃っています。つくばセンター広場ではイベントが開催されていることもあるので、ぜひのぞいてみてください。

この日は『つくばコーヒーフェスティバル2023』が開催されていました。
ランチの後は、午後1時5分までに再びバスターミナル8番乗り場に集合。午後からの参加者も加わり、再出発です。

午後1:25頃 『産業技術総合研究所』に到着

『産業技術総合研究所』とは?

日本最大級の公的研究機関。全国12か所のネットワーク拠点のうち、つくばセンターは最大の研究拠点として中核を担っています。
敷地内には複数の事業所と『地質標本館』『サイエンス・スクエア つくば』の2つの展示施設があり、通常見学できるのはこの2施設です。

年に1度を目安に行われる一般公開日には、普段公開されていないエリアが開放され、ラボの見学や研究体験を楽しむことができます(※)。
※2023年の一般公開イベントは終了しました

『地質標本館』を見学

『地質標本館』について

『地質標本館』は地球科学を専門的・総合的に学べる国内最大級の施設です。1980年の開館以来、全国でも珍しい地球科学専門のミュージアムとして親しまれてきました。
最近では、高校の地学部を舞台にしたAT-Xアニメ「恋する小惑星(アステロイド)」の活動シーンに使われたことで、 “聖地巡礼” として訪れる人もいるのだとか!

館内の4つの展示室では、鉱物や化石、岩石の標本およそ2000点、および地質や火山に関する展示を常設。プロジェクションマッピング技術が使われた日本列島の立体模型や、テーマごとに開催される特別展など、見どころが多い博物館です。

『地質標本館』ホールと展示室

ホールに入って最初に目に飛び込んできたのは、ジュラ紀の褶曲(しゅうきょく)層の巨大な展示。レプリカとは思えない迫力です。

1階の第1展示室では、プロジェクションマッピングによって地質図などの様々なデータが表示された、日本列島の立体模型を見ることができます。

“謎の哺乳類” と呼ばれるデスモスチルスの化石。展示はレプリカですが、世界でも希少なほぼ全身骨格の化石が地質標本館に収蔵されているそうです。

珍しい鉱物や美しい岩石の展示もたくさんありました。

『サイエンス・スクエア つくば』を見学

『サイエンス・スクエア つくば』について

『サイエンス・スクエア つくば』は、産総研が取り組む最新の研究について知ることができる “産業技術のショールーム” 。多様な研究の歴史や成果、最先端のテクノロジーなどが一般の人にもわかりやすいように公開されています。

テクノロジーが今の社会でどんな風に実用化されているか、これからどのように役立てられるのかを学び、考えるきっかけになるような施設です。

ヒューマノイドロボットの展示やセラピーロボットとのふれあいコーナーなど、小さな子供が楽しめるコンテンツもあります。

『サイエンス・スクエア つくば』イノベーションゾーン

赤外線を利用した自動音声ガイド端末「アイミュレット」の体験中。

館内の人気者、アザラシ型セラピーロボットの「パロ」。4色のパロが交代で展示されているそうなので、違う日に訪れると色違いのパロに出会えるかも?

様々な現場で活躍するヒューマノイドロボットの展示。色や大きさ以外にも、よく見ると細かい違いがあるのがわかりますか?

実際に手を動かして遊べるようなコーナーもありました。身近なものからちょっとした発見があるなど、最先端のテクノロジーを実際に体験できるのが楽しいですね。

午後2:40頃 『JAXA 筑波宇宙センター』に到着

『JAXA 筑波宇宙センター』体験レポート

『JAXA 筑波宇宙センター』は、日本の宇宙開発の中核を担う研究施設。全国的にも有名ですが、つくばサイエンスツアーバスの参加者でも楽しみにされている方が多い人気スポットです。

約53万平方メートルの敷地内は複数のエリアに分かれ、人工衛星の開発・運用、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟の管制、ロケット・輸送システムの開発、宇宙飛行士養成など、日夜様々な活動が行われています。

通常、一般の方が入れるのは一部施設のみで、展示館「スペースドーム」、ミュージアムショップがある「プラネットキューブ」、屋外の「ロケット広場」など。スペースドームでは歴代の人工衛星の実物大モデルや国際宇宙ステーションにある「きぼう」日本実験棟の実物大模型などを間近で見ることができます。

ちなみに、普段見ることができない施設が開放される「特別公開日」もあり、ファンにとっての一大イベントになっています。当日は宇宙に関する様々な展示や体験ブースが設けられ、子供と一緒に楽しむことができます(※)。
※2023年の特別公開イベントは終了しました。

展示館「スペースドーム」

入口で出迎えてくれたのは、1/100万の大きさの地球「ドリームポート」。スケールの大きな模型に期待感が高まりますね。

現在も運用中の小惑星探査機「はやぶさ2」の模型。なんと実物大です。

国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟実物大模型の展示は、自由に中に入って見学することができ、子供たちにも大人気でした。

「きぼう」日本実験棟をバックに記念撮影ができるレプリカの宇宙服。胸のダイヤルの数字が左右反転になっているのは、なぜだかわかりますか?…答えはぜひ実際に訪れて確かめてみましょう!

JAXA説明員による展示館ガイド

スペースドームでは、1日6回説明員の方による展示物ガイドを行っています。

※業務上の都合により説明を中止、または時間・内容を一部変更する可能性があります。当日、展示館入口の案内板にて確認してください。

宇宙開発の歴史やちょっとした小ネタなど楽しい雰囲気で解説してくれるので、お子様にもおすすめです。

こちらは説明員さんの “推し” 人工衛星「きく7号」。おりひめ・ひこぼしの愛称でも知られ、世界初の自動自立ランデブ・ドッキングを実証したスゴイ機体なのだとか。

午後4:00頃 再びつくばセンターバスターミナル到着・ツアー終了

バスターミナルに帰ってきたところで、つくばサイエンスツアーバス『スタッフガイド同行コース』の行程は終了です。つくば総合インフォメーションセンターで最後のスタンプを押し、スタンプラリーも無事完成させることができました。
※こちらのスタンプラリーは現在終了しています。

今回初めての利用でしたが、1日で5か所を見て回るため時間があっという間で、各所で「もっと見たい」という気持ちになりました。
同行のスタッフガイドさんは話題が豊富で、移動中もつくばの街や施設についてちょっとした豆知識を聞かせてくれるので飽きません。ガイドさんの解説を聞きながら施設を見学することでより興味が湧き、理解できる場面も多かったです。子供はもちろん大人にとっても刺激的な経験になると思います。

バスの移動時間を含めて、充実した1日を過ごすことができたバスツアーでした。

参加者インタビュー

つくば市内からご参加のご家族
つくば市内からご参加のご家族
つくば市内からご参加のご家族

ツアーはつくばの広報誌を見て知りました。
市内に住んでいてもこんな風に施設を見て回ることはほとんどないので面白かったです。

上の子供がようやく少し楽しめそうな年齢になったので今回参加することにしたのですが、楽しそうに見ていたのでまた子供と一緒に来たいなと思います。

千葉県からご参加のご家族
千葉県からご参加のご家族
千葉県からご参加のご家族

学校の理科の先生の勧めで参加しました。
子供が夏休みに、宇宙についての自由研究を提出したら、つくばにこんなツアーがあるよと教えてくださったんです。

時間が足りなくて、1か所1か所もっとじっくり見てみたくなりましたね。JAXA 筑波宇宙センターは解説員の方のお話も面白くて1番印象的でした。

つくばサイエンスツアーバス 主催者インタビュー

つくばサイエンスツアー推進課の主任 海原さん(左)、課長 中村さん(右)にインタビューしました。

つくば市には約150か所の研究施設があり、1つの市の中にこれだけの施設があるのは世界的に見ても稀なケースです。常設展示を持っている施設を巡るのが当ツアーバスです。
研究機関を巡る専用のツアーバスというのは、国内でもここつくばだけだと思います。

つくばサイエンスツアーバスは、市内の貴重な資産をより多くの方に見てもらいたいという想いで取り組んできました。ほとんどが国の研究機関による成果発表としての展示なので、少し内容が難しい部分もありますが、「本物の研究」に触れられるという点で、大きな価値があると思います。

一度来て終わりではなく、ツアーをきっかけに興味を持ってもらって、ぜひ何度も足を運んでみてください。
きっとお子様の成長と共に、また違った学びや発見をしてもらえると思います。お子様にとっても大切な財産になってくれるはずです。

私達は、研究や科学をきっかけに、つくばの街の歴史や周辺地域との繋がりまで、どんどん学びを広げていきたいと考えています。筑波研究学園都市と関わりの深いかすみがうら市との合同イベントなども定期的に開催しているので、機会があればぜひご参加ください。

この記事を書いた人
この記事を書いた人

黒岩 ヨシコ

インテリアと猫に詳しいフリーライター兼Webデザイナー。「ほどよい田舎に住みたい」という理由で千葉県東葛飾エリアから茨城県つくば市へ移住。幅広い興味と探究心を日々文章に注いでいます。

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